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風「ささやかなこの人生」 [音楽]

風「ささやかなこの人生」

作詞 : 伊勢正三
作曲 : 伊勢正三


私達は、その年上の男の人を「ショーヤン」と呼んだ。
未だ中学生の頃だ。


一昔くらい前だろうか。
「かぐや姫」が復活して、お三方をテレビで見かけることがあった。

そのときのショーヤン、伊勢正三氏のかっこよさはたまらなかった。

髪型も、グレーのサングラスも、お髭も、白いシャツにジーパンの格好も、
優しそうな笑顔も、もう何もかもがとにかくかっこよかった。

そのときと同じような井出達で、「ささやかなこの人生」を歌う姿を
Youtubeで見つけ、繰り返し聴いた。


「さくら」「花びらが散った後」「風」「季節の訪れ」「夕日」
「やさしかった恋人達」「涙」「終わりの無い物語」

この人の綴る言葉は、とても懐かしく、どこかに切なさを宿すものが多い。


Youtubeの小さな画面の中で歌うその人は、とても軽やかで、明るくて、
楽しくて仕方ないといった様子だった。

「ささやかなこの人生」は名曲である。

多分この先何十年も、歌い継がれていくだろう。

中学校や高校では、合唱曲に選ばれるだろう。
そのときに声を合わせて歌い、そして大人になった彼や彼女は、
何十年ぶりにこの曲を聴く時、涙を流すように思う。


伊勢正三氏は「ちっぽけな絵葉書」「ふと足を止めたりする」という
とても身近なものや、その情景が浮かんでくるような言葉で
私達の心を共鳴させる。


風によびかける

   季節の訪れを告げたら淋しい人の心に吹け

次にめぐる季節にも思いを託す

   その愛を拾って終わりの無い物語を作れ


さみしい人は、きっと時間が止まったように
心の中が固まっている
空気も動かぬその部屋に、分厚いカーテンを大きく煽るように風が通る

時は巡る、季節は巡る
その道の途中で愛を拾い上げてくれ
はるか昔から繰り返された人々の物語
らせんの様に続くその物語を 、どうか途切れさせないでくれ

   優しかった恋人たちよ

それまでと違うリズムで、彼は語りかける

   ささやかなこの人生を
   喜びとか悲しみとかの言葉で決めて欲しくはない



私はこの最後の二行が一番好きだ。


「素晴らしき哉、人生」
ということばを思い出す。

そう、人生は素晴らしい。

けれどそれは、楽しかった、幸せだった、喜びに満ちていた
からではない。

裏切りがあり、屈辱があり、胸を切り裂かれる悲しみがあり、
一生刺さったままのナイフのような後悔があり、
こんなにも苦しく辛いことが多いけれど、
それでもなお、「素晴らしき哉、人生」なのだと思う。


私達一人一人の人生は、ささかやなものかもしれない 。

けれどその一つ一つには、その人だけの物語がある。


かつて愛した人たちに、ショーヤンが語りかける。
諍いも、涙もあったかもしれないが、
いまではただ出会えたことに感謝し、相手の幸せを祈る思いが声から伝わる。

恨んだこともあったけれど、悲しみ続けた日々もあったけれど
確かに幸せな季節があったね。
二人して何度も、大きな声で笑ったね。
その季節をともに過ごせただけで、十分に幸せだった。
どうかその思いをわかってほしい。

ショーヤンが呼びかけたように、
風は寂しい人の心に吹くだろう
めぐる季節は、人々の愛をひろって紡いでいくだろう

私達の、喜びだけではなく、かなしみだけでもない、
このささやかな人生に。




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オリ

4つ違いの弟と6畳の子供部屋で過ごした高校生の頃を思い出しました。
弟はギターを練習しているか、ラジカセを聞いているかのどちらかでした。
その頃の弟のお気に入りのテープに「ささやかなこの人生」が入っていました。
2〜3本のお気に入りテープを何度もかけている中で、この曲と南こうせつさんの「くれない丸」が耳に心地よく残ってます。
しかし、shoさんのように言葉のひとつひとつをこんなに大切に素敵に受け止める技量は無かったので、今一度歌詞をかみしめて、訳あって会えなくなった弟の思い出に浸ろうかと思います。
「ささやかな」とは嫌味の無い謙虚な言葉ですね。
個人個人のささやか掛ける人の数イコール平和だったり喜びだったら素敵です。
願わくば、悲しみは人の数で割れるといいですね。イコール平和だったり喜びだったり。
数学苦手な自称友より
by オリ (2013-07-20 17:38) 

Sho

to マヌカン☆さん

どうもありがとうございます。
とてもうれしかったです。
by Sho (2013-10-04 22:46) 

マヌカン☆

shoさん こんばんは。当時の「風」のオリジナルアルバムがCDで再発売されていて、ベスト盤には入っていない懐かしい曲を再び楽しんでいます。昔レコードでそろえたのと同じものを買えない貧乏性のせいで、ずいぶん無駄に時間がかかってしまいました。(今回、ツタヤで借りました)
「ささやかなこの人生」は昔も好きでしたが、今の年齢で聴いてもいい曲だなぁと思います。
by マヌカン☆ (2013-10-12 22:53) 

Sho

to マヌカン☆さん

ありがとうございます。

この曲は、きっと歳を重ねるほどに、「いい曲だなあ」としみじみ思える曲なんでしょうね。
「ベスト盤」には入っていない曲を集めたアルバム、というものいいですね。
「風」も「かぐや姫」も、今聴いてもいい曲多いですねえ。


by Sho (2013-10-13 06:34) 

悲しい訳でもないのに…

涙が止まらなくなりました。(笑)

初めまして。
いろいろな経過を経てこのブログに行き当たりました。
気がつけばもう半世紀生きてます。
好き放題生き、メタメタに打ち込まれ、、(笑)泣き言なんて言えないわたしですが全てをふくめて今、思い返してみる時期がきたような気がします。
この歌を聴き初めて自分の小遣いで買ったレコード。
歌詞もみんな覚えていました。
たくさんの人に愛されたくさんの人を傷つけてきました。
当時と違う感動を今感じています。
ブログ読んで涙溢れて止まりませんでした。ありがとうございます。
by 悲しい訳でもないのに… (2014-12-21 00:14) 

Sho

to 悲しい訳でもないのに・・・さん

はじめまして。

>全てをふくめて今、思い返してみる時期がきたような気がします。
私も、そんな風に思います。

誰のためでもなく自分のためだけに書いているこの拙いブログに、
このようなコメントをいたたぎ、本当にありがたいと思います。
私は幸せ者だと思いました。

by Sho (2014-12-21 10:58) 

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